雪上訓練


雪上訓練
宝剣岳(2,931m)
日時:2018年3月3日(土)~3月4日(日)

メンバー:CLゆきむし、SLしょう、SLエスパー、たけ、アキ、よっちゃん、とおちゃん、はやっしー、あゆ、かに(記)

3月3日(土)
7:00  菅の台バスセンター 着
8:15  菅の台バスセンター 発
8:50  ロープウェイ千畳敷駅 着
9:00~11:00  ホテル千畳敷周辺にて基礎練習
11:00  ホテル千畳敷 発
12:00  宝剣山荘 着
12:30~15:00  宝剣岳西面A沢にて訓練

3月4日(日) 
7:30  宝剣山荘 発
8:00  千畳敷ホテル
8:30~14:30  訓練
14:55  ロープウェイ千畳敷駅 発
16:00  菅の台バスセンター 着

3月初めの土日に、雪山経験者向け雪上訓練が行われました。好天に恵まれ、雪山での確保、登攀訓練とビーコン捜索等の良い訓練ができました。

3月3日(土)
〈スタンディングアックスビレイ訓練〉
千畳敷ホテルすぐ横の緩やかな斜面を使ってスタンディングアックスビレイの基礎練習をしました。

以下、スタンディングアックスビレイの手順
①スノーバーまたはピッケルを使ってセルフビレイをとる
②スタンディングアックスの支点を構築する(ピッケルのシャフトをヘッドが山側に少し傾けた状態で雪面に刺す)
③ピッケルに60㎝スリングをかけるてそのスリングにカラビナをかける。
④ピッケルが飛ばされないように左右どちらかの足の側面を当ててスリングを踏み込んで固定する。
⑤ロープをカラビナにかけ、肩がらみを作りパートナーを確保する。(山側のロープが脇の下を通る)

実際にやってみてわかったこと…
・今回練習した雪面が柔らかかったためスノーバーにスリングを掛けてスノーバーをねかせて埋める方法でセルフビレイをとりました。T字の溝を掘る時にしっかり深く掘らなければ上に引っ張られる力がかかって簡単に抜けてしまう。斜面下方向に力がかかることを心掛けてスリングが通る縦の溝を深く掘ることが大切。
・ピッケルを固定する足は右でも左でも可能だが、山側に来ている足で固定すると谷側に引っ張られたときにもう一つの足で踏ん張りがきくので良い。両足で試してやりやすいようにやる。

基礎練習でスタンディンアックスビレイの手順を確認後、八丁坂を上り宝剣山荘に到着。幕営装備をテント場にデポし、A沢(宝剣山荘からすぐ)に移動、2名または3名一組のパーティーごとで雪面の上り下りとスタンディングアックスビレイの練習をしました。私のパーティーはSLゆきむしリーダー指導の下、リーダーがスタンディングアックスビレイで2名を確保し一人ずつロープいっぱいのところまで下る。下りた2名のうち1名がスタンディングアックスビレイでリーダーを確保しリーダーも2人のいるところまで下る。この手順で2ピッチ分下って、登り返してこの日の訓練は終了。昨年の雪上訓練も同じA沢にて行われたが、昨年と雪面の状態がまったくちがい比較的歩きやすかったということでした。昨年は雪面が固く、もっと難易度が高かったようです…。
テントを設営して各テント食事をし、就寝。山荘周辺は風がとても強くテント設営、撤収に大変苦戦しました…。

スノーバーを使用したセルフビレイ

ピッケル(アックス)を使用したセルフビレイ

支点構築の練習

スタンディングアックスビレイでパートナーを下ろす場合

3月4日(日)
2日目はテントを撤収してすぐ、八丁坂を下ってホテル千畳敷まで下りました。稜線は強風でしたが天気はとても良く、富士山がよく見えていました。ホテルまで下山すると風はほとんどなくなって、気持ちの良い陽気の中訓練をすることができました。この日もゆきむしリーダーを中心にホテル周辺でビーコン捜索を中心とした訓練をしました。

〈ビーコン捜索訓練〉
会の装備にもなっているマムートのビーコンを使って訓練しました。ビーコンの基本的な使い方、特徴、グループテストのやり方の説明を受けた後実際に雪に埋めたビーコンを見つけ出す練習をやってみます。(ビーコンだけ埋めると見つけづらいのでザイルの入った袋と一緒に埋めました。)より実践的になるように、5名2チームに分かれて設定を決めて練習をしました。Aチームは雪崩によって仲間を何名か見失ったパーティーで、そこに偶然通りかかったBチームは埋没者の捜索をお願いされビーコンを使ってなるべく時間をかけずに探し出します。 Bは『雪崩はどこからどちらの方向に流れたか、何名いなくなったのか、その人を最後見失ったのはどの場所か、その人はビーコンを持っているか。』というような質問をすることでAから情報を聞き出し、ある程度の場所を特定して探し始めます。ビーコンを送信モードから受信モードに切り替えて体の前で持ちます。5名いるので10m間隔くらいに広がり進みます。ビーコンの指し示す矢印の方向に進み、ビーコンの表示が2m以内まで近づいた人がいたらビーコンを雪面に近づけ距離表示が一番小さい数字になるところを探ります。ビーコンを十字を描くように、雪面上で動かします。(まず左右に動かし一番近くなるところで上下に動かし最終的に一番近いところを探します)一人がビーコン捜索している間にほかのメンバーはシャベルやゾンデ棒を準備しておきます。声を掛け合ったり、役割分担することで早い時だと5分ほどで掘り出すことができました。1チーム2回ずつ練習し、複数名探し出すときのパターンも練習しました。

5名による探索

ビーコン捜索の後、埋没体験をやりました。うつ伏せで穴に入り、ツエルトを体にかけて雪で埋めます。顔が来るところは深く掘っておき、空間を作って苦しくならないようにします。30㎝位の厚さの雪を体から頭にもかぶせていきます。目の前は真っ暗になり、重くて体が動かせなくなります。雪の重みで身体が圧迫される感じがして思った以上に息苦しく感じました。たった1分ほどの時間の埋没体験でしたが、雪崩にあって雪に埋まるということがどれだけ恐ろしいことか実感しました。

雪の埋没体験

〈シャベルコンプレッションテスト〉
雪の斜面を1mほど掘り出し垂直の雪面を作り、積雪断面観察とコンプレッションテストをゆきむしリーダーに見せてもらいました。雪面はシャベルでなるべく平らに削ることが大切ということです。その面をスノーソーで切り出して高さ1m、縦横30㎝の角柱を切り出してコンプレッションテストをやってみます。角柱の上にシャベルを当てて、手のひらでどのように何回たたいたら崩れたかによって積雪の安定度を測ることができます。

・角柱を切り出している最中に崩落した ➟ 非常に不安定
・手首から先を使い、手の平で10回叩くと崩落した ➟ 非常に悪い
・肘から先を使い、手の平で10回叩くと崩落した ➟ 結合状態が悪い
・腕全体を使い、手の平で10回叩くと崩落した ➟ おおむね安定
・上記の手順で角柱は崩落しなかった ➟ 安定

このような手順で積雪の安定具合を見て、状況が悪ければ中止したり、場所を変えたりする必要があるということです。今回のテストでは30回角柱を叩いても崩れることは無かったので、積雪の状態は安定しているという結果が出ました。

積雪断面観察

コンプレッションテスト

以上で2日間の雪上訓練は終了。天気に恵まれたこともあり、色々な訓練ができたのだと思います。経験の浅い私としても、経験豊富なリーダーをはじめとする皆さんと練習することで大変勉強になりました。

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